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海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

海外転出の時、国民年金を任意加入に変更しないと加入資格が喪失!!

海外の日本の年金受給者にとって改善されるべき点として、海外送金の老齢基礎年金と老齢厚生年金の1本化による負担費用の軽減による実質年金額の増加を計るべく、本年2月厚生省年金局を訪問しその旨申し入れました。

先月7月その2弾として海外在住者の国民年金加入形態について発生している問題の改善を厚生省年金局に提言してまいりましたので以下報告いたします。

日本国内で国民年金に強制加入されていた方が海外に転出し国民年金に継続加入したい場合、任意加入を選択できます。その場合、日本出国時に住民票がある区市町村の役所の住民課等に国外転出届を提出後、別途国民年金課に行って任意加入への変更を届出する必要があります。

国外転出時に強制加入から任意加入への切替えの手続をすることなく国民年金の加入を継続すると、国民年金法第9条2項(日本国内に住所を有しなくなったとき加入資格を喪失する)に基づき国外転出による住民票の除票時に遡り加入資格喪失となってしまいます。

このケースに該当したAさんは65歳の年金受給申請時に資格喪失の事実を知らされました。それまで積み立てた保険料303万円は還付されました。

 

しかし17年間支払った保険料相当分の年金を65歳から平均寿命の87歳まで受け取った場合の年金額合計約747万円から還付金303万円を差し引くと約444万円の損失となりました。老後の生活資金として長年積み立ててきた年金が受給できない事となり老後の生活設計に大きな影響となってしまいました。

 

この様な事例が発生する原因を考えてみると、以下の理由があります。


1. 少なくとも過去において海外転出時に国民年金の加入形態を強制加入から任意加入への切替え手続が必要であるとの広報が、厚生労働省、区市町村役所、日本年金機構から加入者に対して十分になされて来なかった。


2. 住民課等に国外転出届を提出した際に、現状国民年金の任意加入を希望するのであれば年金課を訪問し手続きする必要があるとアドバイスされていない。


3. 国外転出者にとって強制、任意の加入区分はどの様な意味があるのか。加入者は日本国籍者として老後のために保険料を正しく支払い続けているわけで、加入区分の登録の違いで年金の加入が無効となることに不条理を感じる。

 

以上の現況に鑑み、以下提言致しました。


1.過去国外転出届提出後、国民年金の任意加入手続きなしに国民年金保険料支払いを継続している国外居住者の国民年金受給資格を確約する救済措置をお願いしたい。


2.厚労省、日本年金機構は、地方自治体にて国民年金加入者が国外転出届を提出する際に、加入継続を希望する場合には任意加入手続きが必要との広報の徹底をお願いしたい。