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日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

協定でもらいやすくなった日本の年金

前回までに日本の年金を受給するには、「加入期間」と「年齢」の2つの要件があり、「加入期間」は、米国在住の期間をカラ期間(20歳から60歳までの間に日本国籍で海外に在住していた期間)として合計して25年を満たすか、または日本と米国の公的年金に加入していた期間を通算して25年以上あれば要件を満たすことをお話しました。日米の年金期間を通算する方法は、日米社会保険保障協定の発効(2005年10月)により新たに認められた方法です。この協定によりどんな方が恩恵を受け年金をもらえるようになったのか、具体例を交えてお話したいと思います。

まずは(1)カラ期間の使えない大正生まれの方の例です。昭和61年の年金制度の改正で、海外在住者のカラ期間適用制度が出来たのですが、大正生まれの方は対象外となり、カラ期間が認められておりません。大正生まれのEさんは、渡米後、約21年米国の会社で働きSS Taxを払っていました。母が日本で国民年金の保険料を払ってくれていたことを覚えていて、調べてみると国民年金の加入期間は5年、日米の年金期間を合計すると26年となり、日本の年金をもらうことが出来ました。Eさんは「亡くなった母の気持ちを生かすことが出来た」と大変喜んでいらっしゃいます。

次に(2)カラ期間はあるが短くて年金請求ができない方の例です。
昭和生まれのSさんは日本で5年間会社で働いて渡米し5年後に米国籍を取得し、日本国籍を喪失しました。そうするとカラ期間は国籍喪失までのわずか5年間となり、日本での年金加入期間5年を合計しても10年で、協定発効以前までは、受給資格に必要な加入期間25年を満たすことは出来ませんでした。しかしSさんは米国年金に20年以上加入していたので、協定により日米の加入期間を通算して25年以上となり日本の年金をもらえるようになりました。
これらの事例でお分かりのように、日米社会保障協定により多くの方が恩恵を受けることが出来るようになりました。日本で短期間年金に加入されていた方も、是非この恩恵を受けられるよう見直されてはいかがでしょうか。

市川俊治 海外年金相談センター(http://nenkinichikawa.org)
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