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日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

年金申請手続きについて(その1)

年金の受給開始年齢が近づくといよいよ受給申請の為の事前準備が必要となります。日本の年金は申請主義です。年金を受け取る資格ができたときに自動的に年金の支給が始まるものではありません。年金を受け取るための請求の手続きを自ら行う必要があります。正直日本の年金受給手続きは簡単ではありません。日本在住者の申請必要書類は各人ほぼ同じですが、海外在住者の場合は各人で異なります。それだけに受給のための申請方法を理解し、事前の準備をして臨むことが必要です。

米国にお住いの方が申請準備をするに当たり知っておくべきポイントは以下の通りです。

1.年金加入年数、振込先、年金額、国籍、家族構成等により申請書類が異なります。

2.日本の年金の受給資格は、老齢年金は加入10年以上、遺族年金は25年以上の加入が必要です。これを満たさない場合カラ期間や米国年金の加入期間を活用して受給条件をクリアーすることが出来ます。その場合のカラ期間の証明方法が複数あり事前にその選定を行なって準備しておく必要があります。

3.振込先 日米いずれの口座に振り込むのが良いのか決める必要があります。米国の銀行口座では振込のたびにHandling Charge(取扱手数料)が20ドル前後取られます。Handling Chargeが取られない銀行もあります。振り込みは年6回あります。円での年金を希望する場合は、日本の口座への振り込みになりますが、新規口座の開設は難しい傾向にあります。

4.年金額により日本で年金支給の都度、源泉税(20.42%)が取られます。

一方日米租税条約で日米の年金所得は住んでいる国で所得として納税となります。このため年金額により二重課税となりますのでそれを回避する為「租税条約に関する届出書等」を提出する必要があります。その際、居住証明書(Form6166 発行IRS)も添付する必要があり、その取得に2か月ぐらいかかります。

5.加給年金が支給される場合の受給資格クリアーのための提出資料(年収850万円未満を証明する書類)の準備が必要です。


6.日本在住の場合は住民票を提出する必要がありますが、米国在住の場合は、日本国籍者は在留証明書(領事館で申請)、米国籍者は宣誓供述書

(Affidavit)を作成しNotary Public (公証人)に認証(Notarize)してもらい提出します。

7.日米社会保障協定、日米租税条約の理解が必要です。

8.二重国籍の方が国籍喪失届を提出することなく戸籍をそのままにして年金を受給することは可能です。ただ米国籍を取得している方に対してまず国籍喪失届を提出して戸籍に反映後に米国人として年金申請をするように年金機構から指摘を受けるケースがありますのでご注意ください。

海外年金相談センター
市川俊治
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E-Mail:shunjiichikawa@gmail.com