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日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

日米社会保障協定でもらい易くなった日米年金

日米社会保障協定は、

①社会保障税の二重払いの回避

②年金の掛け捨て防止の目的で2015年10月に発効しました。

①は、派遣期間が原則5年以内の米国滞在であれば、日本の年金事務所で予め「適用証明書(Certificate of Coverage)」を取得しておけば、引き続き日本の厚生年金、健康保険に加入継続でき、米国の社会保障税は免除となり二重払いが回避されます。

②は、日米の年金の加入期間を、日米の年金受給資格の算定上相互に通算出来るとうものです。協定が発効されるまでは日本の企業は派遣社員を米国の社会保障制度に加入させ、一方で日本の社会保障制度にも継続加入させていましたので、この協定によりかなりの経費負担減となりました。

一方、当時の派遣社員の方の駐在期間は3年から5年位で折角米国年金制度に加入しても年金受給資格である加入10年(40クレジット)を大半の方がクリアーできず掛け捨て状態となっていました。そんな中、協定が発効し多く駐在員経験者にとっても朗報となりました。

例えば米国年金に5年間加入して日本に帰国された方も、日本の年金の加入期間を加算することにより受給条件40クレジットをクリアーし、ご自身の支払われた5年分の年金を受給できるようになりました。

日本の年金受給条件は2017年8月からはそれまでの加入期間25年間から米国並みに10年に短縮されました。

日本の年金に20年間加入していても5年足らず受給に至らなかった方の場合は米国年金の加入期間をそれに加算することにより25年をクリアー出来て喜ばれるケースもあったわけです。

10年に短縮された以降は日本の年金加入者にとり米国の年金加入期間を活用して受給資格を得る必要性は薄れたと言えるかもしれませんが、ここで忘れてはならない米国年金加入期間の活用のメリットがあります。

それは日本の遺族年金の受給資格はこれまでと同様25年以上の加入期間が必要であるということです。その場合米国年金の加入期間を加算することにより25年以上となれば、遺族年金の受給資格を獲得できるわけです。

日本で働かれていたご主人が米国で亡くなられた場合も、日本の年金加入期間が少なかったので日本の年金申請を諦めていた方の場合も、米国年金加入期間を加算して日本の遺族年金を受給出来たケースもあります。

周りにこんな方がいらっしゃれば是非教えてあげてください。

また加給年金の受給資格は厚生年金の加入月数240ヶ月(20年)以上が条件ですがこの期間の計算上でも米国年金加入期間を加算することが出来ます。加給年金額は生年月日が昭和18年4月2日以降の場合408,100円ですから決して見落とすわけにはいきません。

この協定でよく質問があるのは“私は日米両国の年金に加入しているが、将来受給する場合は両国の年金加入期間を通算した上でどちらの国の年金を選択するのですか”と言った趣旨の問い合わせです。

日米両国の年金制度は基本それぞれ独立した制度です。それぞれの国の年金受給の為の加入期間を満たせば年金はそれぞれの国から独立して受給できます。

例えば日本の年金の加入期間が10年以上あれば米国年金の加入期間をみなしで加算しなくても、言い換えれば協定を活用して米国年金の加入期間を加算しなくても日本の年金は受給できます。協定を活用して年金の受給資格をクリアーするのはどちらかの国の年金加入期間が受給するために不足している場合です。

例えば年金の加入期間が日本4年米国6年の場合、このままでは両国の年金は受給出来ません。

その際、協定を活用して相互の年金加入期間を通算すれば4+6、6+4で加入10年以上(40クレジット以上)となり4年分の日本の年金と6年分の米国年金が受給できるわけです。協定の内容をよく理解して老後に備えましょう。