San Diego Town

サンディエゴ
日本

サンディエゴタウンがゆく!

コラム Column

日本酒唎酒師あやかが日本酒を語る

伊藤彩夏

Setting Sun Sake

クラフト文化のメッカサンディエゴには、酒蔵もあるのをご存知ですか?今月はサンディエゴで唯一の酒蔵Setting Sun Sakeをフィーチャーします。

この酒蔵は、2016年10月に地産地消をモットーにしたサンディエゴならではの地酒を醸すため、Miramarにオープンしました。原料となる米はカリフォルニア産のカルローズを100%使用し、自家製の麹と酵母で醸造しています。地元で醸す1番の強みといえば、品質の変わりやすい生酒をより身近に楽しんでもらえること。Setting Sun Sakeの日本酒は全て火入れをしていないフレッシュな生酒です。醸し人のJoshさんは、長い間クラフトビールの業界で仕事をしていましたが、サンディエゴにはビール醸造所はたくさんあるから、誰も挑戦していない日本酒を醸してみよう。と右も左も分からないながらに、数少ない英語で書かれた日本酒の本や動画を見ながら、見よう見まね、手探りの状態で初めての日本酒を醸したそうです。ビジネスパートナーに酒蔵をつくろう!と説得するために醸した初めての日本酒は、とんでもなく恐ろしい味がしたよ!と当時を振り返ったエピソードを教えてくれました。

オープンから約2年。今では生産量や味も安定してきて、ボトルやドラフト酒としてテイスティングルームだけでなく、地元のリカーショップやレストランでも取り扱いされるようになりました。Miramarにあるテイスティングルームではシグネチャーとなる定番アイテム「クリア」と「にごり」の他に季節の果物や草花をインフューズした日本酒もローテーションで楽しめます。私のお気に入りは、ラベンダーとレモネードをインフューズしたViolescent Wavesとビール文化と融合したサンディエゴらしい日本酒「ホッピー酒」です。ホッピー酒は酸度が強めでサワービールのような味わいで、暑い夏に最適なサッパリとした日本酒でした。日本では、酒税法で「米、米こうじ、水を原料として発酵させ、濾し、アルコール度が22度未満のもの」を日本酒の定義としているので、インフューズをさせた日本酒はリキュール扱いになりますが、アメリカではそのような規定はないのでSakeとして販売が可能。

日本でも近年、苺にごりや、柚酒など日本酒ベースのリキュールが若い世代を中心に人気がありますが、それと同じように、クラフト文化の根付いたサンディエガンにとって、このようなアプローチは日本酒の世界へのいい窓口になるのではないでしょうか。

Setting Sunの酒蔵近辺は、日本酒の他にワイン、ビール、サイダー、ミードの醸造所、ウォッカ、ジン、ウィスキーの蒸留所やコーヒーロースタリーなど個人経営の地元に根付いた「造り手」が集まるMiralani Maker's Districtという地区にあり、ユニークなサンディエゴのクラフト文化をまとめて見学することができるので、酒蔵に遊びに行かれる際には、是非そちらもお見逃しなく。

Setting Sun Sake 営業時間
月〜木 3PM-9PM
金〜土 12PM-10PM
日   12PM-9PM
電話番号: (951)757-1393
住所: 8680 Miralani Drive, Suite 120, San Diego, CA 92126