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コラム Column

海外生活、国際結婚、子育てを応援するMy Peaceful Family

塚越悦子

海外で家庭内暴力(DV)を受けたら

ここにきて、またハーグ条約への加盟のニュースを目にするようになりました。日本政府は5月末のフランスでの主要国首脳会議(サミット)で表明することを目指していますが、新聞などの報道によると、まだまだ慎重論もあり調整は難航することも予想されるとのことです。

慎重論の大きな理由は家庭内暴力の犠牲者に対する配慮です。家庭内暴力、つまりDomestic Violence(DV)を受けた人が、最後の手段として子供を連れて帰国にした場合でも、子供を元の国に戻さなければならないとなると、「逃げ道」がなくなる、という懸念からです。実際に、国際結婚で海外に行ったものの、相手の身体的または言葉によるDVに苦しんでいる日本人は大勢います。

このあたりの条項をうまく盛り込めればそれに越したことはありませんが、いずれにしても日本がハーグ条約に加盟となれば、国際結婚をする人は今までよりもさらに慎重になる必要があります。「自分には関係がない」と思うかもしれませんが、万全を期すために、DVとは何か?ということについて知識を得ましょう。身体的な暴力や性的暴行(夫婦であっても同意のない性行為はこれにあたります)は一般的に知られている例ですが、その他にも言葉による暴力や脅し、行動の自由を制限するなども含まれます。頻繁に起こっていなくても、常にそういった行為に対する脅威がある場合は、DVを受けていると考えられます。

もし自分がDVの被害者であることが認識できたら、いろいろな行動を起こす必要があります。例えば、身体的な暴力の場合は、警察を呼んだり、必要があれば病院に行き、記録をとることです。命に関わるような場合にはすぐに避難できるシェルターに行く必要があります。ただ、書いてしまえば数行のことですが、これを、言葉も不自由で頼る人もいない(少ない)ような状況で行うことは大変な困難が伴います。911をまわしても、シェルターに電話をしようにも、自分の状況を英語で説明できないという不安があるかもしれません。また、アメリカでDVを専門に扱っている方によると、日本人の場合は特に「孤立しやすい」という特徴があるそうです。他のアジア系移民に比べても、確かに地域での日本人同士のつながりは薄いですし、家族や親戚ぐるみで移住というのも珍しいことでしょう。こうした場合、特にDVのひとつの形である「相手を孤立させ、自分の言うことしか信じられなくさせる」という状況を加害者が作りやすいのです。そういった意味で「DVの被害者になりやすい日本人」ということも言えるでしょう。このコラムの第一回から書いていることですが、ここでもやはり語学力と友達が大切になってくるのです。

私の「成功する国際結婚の秘訣」ブログ(http://ameblo.jp/mypeacefulfamily)でも以前このテーマの記事を書きました。
DVを受けているかもしれないと感じたら、サンディエゴであれば619-239-0355で24時間誰かと話ができます。実際に電話をしたことがありますが、まず30分のスクリーニングがあるそうです。それから、空きがあればシェルターに30日間滞在することができます。また、ほかの番号として、211や1-888-385-4657を教えてもらいました。いろいろな団体がDVの被害者を支援する活動をしているので、最初に電話をかけたところに空きがなくても、いろいろあたってみるといいというアドバイスでした。こちらの二つの電話番号はアメリカ国内ならどこからでもかけられます。

すぐにシェルターに行く・・・という状況でなくても、例えば離婚のための手続きのサポートを得られたり、DV Educationを受けられたり、いろいろなリソースがあります。結婚したばかりで永住権をなくすことが心配で行動を起こせないと言う方もいますが、DVが理由で離婚になった場合、永住権は喪失しません。情報がない、語学に自信がない、誰にも相談できない・・・という方は、お一人で悩まずに、まず私までメールで(etsuko@mypeacefulfamily.com)ご連絡ください。こういった場所に電話をする際の3者コールなども、国際結婚コーチングのサービスの一環として有料でサポートいたします。何年も耐えた結果体を壊すという状況に陥る方を一人でもなくすことができればと切に願っています。

追記

「DVが理由で離婚になった場合、永住権は喪失しません」という部分ですが、何もしなくても自動的に・・・ということではありません。具体的には、警察や病院、カウンセラーなどのレポートを基にDVの被害者であるという証明ができれば、U visa あるいはVAWA visaを(アメリカ市民からの申請なしに)自分で申請できる書類を作成してもらうという手続きになります。U visa あるいは VAWA visaをネットで検索すると情報が入手できます。この程度の情報であれば個人で入手可能ですが、実際に申請の際は弁護士を通すことが強く勧められています。移民弁護士を雇うか、金銭的に苦しい場合には、公的あるいは民間の団体でリーガルサポートをしているところがありますので、そちらにご相談ください。

参考:WOMENSLAW.ORG

http://womenslawreports.blogspot.com/2010/05/vawa-and-u-visa-for-non-citizen-victims.html

YWCAサンディエゴ:http://www.ywcasandiego.org/