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コラム Column

日本酒唎酒師あやかが日本酒を語る

伊藤彩夏

日本酒とチーズ

皆さんは、日本で初めて飲まれていたお酒はどんなものか、そしていつ頃からその存在があったのか考えたことはありますか?

時は縄文時代に遡り、土器の開発により食材の保管が可能になりました。長野県の遺跡で発見された土器より、山ブドウの種が見つかったことから、貯蔵されていた山ブドウが自然発酵して造られた、ワインのような飲み物が、日本で1番初めに飲まれていたお酒だったと考えられています。

お米には、ブドウの様に糖分が含まれていないため、自然に発酵が始まるということはありません。日本酒を造る時は、アルコールを醸すのに必要な麹造りから始まります。お米に麹菌を増殖させる作業で、麹菌はお米のデンプン質を分解させる酵素をつくり、その酵素がデンプンを糖分に分解してくれます。次にアルコール発酵に必要な酵母(イースト菌)を培養する酒母造りをします。酒母には、麹造りで出来た米麹と酵母の栄養源となる蒸米、水が必要で、その他に酒母を他の微生物から守る為に乳酸または乳酸菌の力を借りて、酒母を酸性に保ちます。(酒母は微生物としては弱い存在ですが、他の微生物が苦手な、酸に強いという特製を活かしています。) そういった兼ね合いもあり、日本酒の肴には同じ乳酸菌を豊富に含むチーズが実はとても合います。

今回は、100種類以上あるVenissimo Cheeseのセレクションの中から、チーズスペシャリストの方と一緒に見つけ出した日本酒に合うおすすめのチーズを3種紹介したいと思います。

Midnight Moon - Cypress Grove Arcata, CA
ヤギのミルクから作られたハードタイプの熟成チーズで、こんがりとしたナッツの風味が特徴。合わせた日本酒は、梨やパイナップルのような爽やかな甘みがあり、スッキリした飲み口のBlack Dotで、日系のスーパーなどで売っている日本酒でマリアージュをするのであれば、八海山の純米吟醸などを合わせても美味しいと思います。

Delice de Bourgogne (Burgundy) - Bourgogne, France
牛のミルクから作られたウォッシュタイプのチーズで、塩気と少しの酸味を感じる濃厚な味わいが特徴で、お米の旨味をしっかり感じられる遊穂の純米酒と合わせると、チーズと溶け合ってまろやかで優しい味わいを作り出してくれました。他にも一ノ蔵や鶴齢などの香りが控えめで食中酒として人気の純米酒とも合わせてみて下さい。

Moliterno - Sardina, Italy
羊のミルクに黒トリュフを注入させた熟成チーズで、黒トリュフを注入する前に熟成をさせているチーズなので、チーズ自体の深い味わいにトリュフの香りと旨味が詰まっているので、そのまま食べてもとても美味しい芳醇なチーズです。日本酒は乳酸菌を取り入れて醸す、山廃仕込みの福千歳 圓と合わせました。しっかりとしたボディーのある日本酒なので、トリュフの味わいに負けることなく、お互いの良さを引き出しながらうまく調和してくれました。サンディエゴでよく見かける、くろさわなどの、より複雑な味わいが特徴の生酛造りの日本酒となら合わせやすいと思います。

Venissimo Cheeseはサンディエゴに4箇所店舗があるようなので、色々なチーズと日本酒の組み合わせを楽しんでみて下さいね!

2017.4.18
唎酒師 伊藤彩夏